今回は、私が2018年11月の行政書士試験も目前という時期に本屋でたまたまこの本を立ち読みし、「これは!」という感じで即買いして読んだ伊藤塾の民法・行政法のテキスト
うかる! 行政書士 民法・行政法 解法スキル完全マスター 第2版
「うかる!行政書士 民法・行政法 解法スキル完全マスター」平林勉/伊藤塾を紹介します。「問題を解く時の頭の働かせ方・検討する順序」にフォーカスした、問題の解き方を学べるかなりおすすめの民法・行政法のテキストです。暗記用の図表も豊富です。
「うかる!行政書士 民法・行政法 解法スキル完全マスター」の特徴・おすすめな点
「何を、どの順序で検討していけばいいのか」がはっきりと書いてある
この特徴が、行政書士試験の直前期にわざわざ購入してまでこの本を読んだ理由です。本屋で何気なく手に取ったのですが、パラパラと見ただけでもとてもよく出来ているのが分かり、「これは試験までにひと通り読んでおきたいな」と思いました。
例えば、民法の債権総論の補償のところでは、
- 要式性、保証債務の範囲を考える
- 主たる債務、保証人どちらについて生じた事由なのかを考える
- 催告・検索の抗弁権を考える
という、大まかな方針・検討順序がまず提示され、この後に行政書士試験の過去問やオリジナル問題を解きながら「要式性、保証債務の範囲を考える」とはどういうことか(例:要式性に関するものの検討→保証契約が書面でなされているか、など)を実際に学んでいきます。
もう一つ例を挙げると、債権者代位権の要件検討では
- 被保全債権が金銭債権の場合、無資力かどうか
- 債務者が権利行使してるかどうか
- 弁済期に達しているかどうか、達していなければ裁判上の代位・保存行為に当たるかどうか
- 一身専属権・差押禁止債権かどうか
このように順番に検討していきます。
私はこの本を読み始めたのは行政書士試験直前だったので、上記の知識はもう全て知っている状態でしたが、この本の記述のように具体的に「これとこれとこれを検討して…」というようには考えてなかったです。
問題を解く時はとりあえず選択肢を見て、頭の中にあるバラバラの知識のどれに当てはまるかどうかで判定していたので、解法の鉄則を読むことで頭の中の知識がかなり整理された感じになり、スッキリしたのを覚えています。
予め問題で聞かれることをパターンとして全て押さえておくような感じですかね。例えば選択肢に弁済期に達していないという記述を見つけたら、「どうせ裁判上の代位・保存行為に当たる行為が書いてあるんでしょ?…あ、あった」みたいな感じです。
暗記しておくべき民法と行政法の条文・判例知識等のまとめ図表が豊富
「うかる!行政書士 民法・行政法 解法スキル完全マスター」にはたくさんの暗記用のまとめ図表が載っています。似てる事項の比較の図表やなどもありますので、知識があやふやになりやすい部分もしっかりと意識して潰していくことが出来ます。
いくつか例を挙げると、
- 不動産物権変動と第三者の整理
- 代価弁済と抵当権消滅請求の比較
- 共有と法定地上権の成立の可否
などです。もちろん他にもたくさんありますよ。
例えば、「不動産物権変動と第三者の整理」ですと、「○○前の第三者と○○後第三者の関係」を整理しておく必要がありますよね。
取消し前の第三者との関係でも制限行為能力によるのか、詐欺によるのか、強迫によるのかで第三者との関係は少し変わってきますよね。時効完成前の第三者と時効取得者、解除前の第三者などなど…それに加え、○○後はどうなるのか…。
これをテキスト通読のみでしっかり意識して区別するのは結構難しいのではないでしょうか(私はこのサイトのまとめ記事にして覚えました)。このようなややこしい知識もバッチリまとめの図表が載っているので比較して覚えることが出来ます。
他には、共有と法定地上権の成立の可否などは土地が共有なのか建物が共有なのか、土地建物両方が共有なのかで法定地上権が成立するのかどうかを理解しておかないといけませんよね。私も最初はかなりこんがらがりました。
個人的に「やめてくれー」と思いながら暗記したのは「通知義務と求償関係」ですね。事前通知、事後通知の必要不要のパターンがいくつかあって、「主債務者→受託保証人は事前通知は不要、事後通知は必要。受託のない保証人ならどっちも不要」など、ちゃんと覚えておかないといけません。
こういった「テキストを通読するだけではちょっと区別して覚えるのが大変な暗記事項」がまとまっていますので、ある程度科目の全体を勉強した後は、この本に載っている図表の知識をまずは完璧にするという勉強の仕方もアリだと思います。
実際の行政書士試験、司法試験、司法書士試験、国家2種公務員の過去問とオリジナル問題で知識を使う練習が出来る
「解法の鉄則」「まとめ図表」で学んだことを、実際の行政書士試験の過去問はもちろん、旧司法試験、司法試験、司法書士試験、国家2種公務員試験とオリジナル問題ですぐ練習出来るのがありがたいですね。
司法試験の過去問と聞くと驚く人もいるかもしれませんが、あくまでも行政書士試験対策、解法スキルのマスターのための問題ですので安心して下さい。
この解説がかなり分かりやすいです。「解法の鉄則」で学んだ要件と検討順序で問題を解いていくのですが、問題を解く時の頭の使い方、思考の順序をたどることが出来るのでとても勉強になりました。
解法の鉄則を読んで検討順序を理解しただけでは、実際に解く時に「あれ?どうだっけ」となってしまうので、しっかりと要件に当てはまっているか、検討順序が正しいかを確認しながら問題を解いてみるのは大切だと思います。問題で練習することで知識の強化ももちろん図れます。
「うかる!行政書士 民法・行政法 解法スキル完全マスター」の使い方・覚え方
とにかく、「本の解説に書いてる頭の働かせ方・知識の使い方で問題を解いてみる(検討してみる)」ということが大切だと思います。
私は
- 解法の鉄則、図表を読む
- 設問を読む
- すぐに解説を読む
- もう一度設問を読み、解説と同じ考え方で正誤の判定が出来るかチェック
- 覚えたい図表には付箋を貼り、毎日目を通す
このように使っていました。設問は自力で解かなくても良いと思います。問題を読んだら即解説を読んで、伊藤塾の平林先生の解き方・頭の使い方を知り、すぐに自分でも試してみると良いと思います。
「暗記した知識を有効に使うとはこういうことなんだろうなぁ」と結構感動しました。
私は最初から順番に読んでいきましたが、自分の苦手な範囲から読み始めても良いと思います。
最後に
「うかる!行政書士 民法・行政法 解法スキル完全マスター」はかなりおすすめ出来る民法・行政法のテキストです。問題を解いている時の頭の働かせ方、考える順序を示してくれる本はあまりないと思いますので、一度読んでみて下さい。
解説が詳しいのでいつ始めても効果はあると思いますが、個人的にはテキストを一通り読み終わって過去問演習に入る前にやるのがおすすめですね。自分の頭の中の知識が整理されると思います。
この本にもっと早く出会っていれば、あんなに行政書士の民法には苦戦しなかっただろうなぁ…笑
私の行政書士試験の受験体験記(178点不合格、234点合格体験記の両方アリ)、おすすめテキスト・勉強計画などは「行政書士試験対策の記事一覧」をどうぞ。