行政書士試験に過去問だけで合格する可能性はどれくらいあるのか?

行政書士試験に過去問だけで合格する可能性はどれくらいあるのか?

最近また「行政書士試験の勉強は過去問だけじゃダメですか?」という質問をいただきました。「過去問だけで受かりますか」系の質問は本当に多くて、定期的にいただきます。受験生としては、やっぱり過去問演習だけで合格できるならそうしたいですよね。

行政書士試験の受験勉強では合格革命の『肢別過去問』などを独学で使っている人はたくさんいますし「過去問だけで本当に大丈夫なのか?」という疑問を持っている人も多いかと思います。

ネットで検索しても「行政書士試験は過去問を何周も繰り返すだけでOK」と言っている人もいれば、「過去問だけで受かるのは厳しい」と言っている人もいて、どちらの方も合格者だったりします。

私も以前、「行政書士試験は過去問だけで合格できるのか」ということについての記事を書きました。ちなみに、私は「過去問だけでも合格は出来る、でも安定はしないんじゃないかと思う派」です。

今回は、「そこのところ、実際どうなんだろう?」という人のためにもう少し掘り下げて、「過去問だけで合格する可能性はどれくらいあるのか?」について、私の考えを書いていこうと思います。「こういう考えもあるのか」と参考にしてみて下さい。

関連記事:【行政書士試験】行政書士試験は過去問だけで合格できるのか?

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行政書士試験は過去問だけで合格する可能性はどれくらい?

「行政書士試験を過去問だけで勉強するとどうなるのか」について、あまり細かいところは気にせず、ざっくりと計算(シミュレーション)していきます。

追記:さすがに法令科目も一般知識も全てまとめてしまう計算はざっくりしすぎたので、少し修正しました。

行政書士試験の過去問知識で確実に取れる点数

行政書士試験は300点満点、合格点は180点です。

とりあえず民法と行政法の記述式は60点中20点取ると仮定します。(記述は結構点数を取るのが難しいので低めに見ておくのが良いと思います)

次に、過去問をやる意味がほぼない一般知識は本番の出題運がかなり大きく、何点取れるか予想がつかないので、全員が必ず取る必要がある足切り回避ライン24点と仮定します。

すると、今のところ「記述+一般知識=44点」なので、行政書士試験に合格するには残りの法令択一184点中136点取る必要があります。

法令択一の184点が全部1問4点のマークとすると46問。(面倒なので多肢選択式も2問4点をまとめてざっくり計算します)

この法令択一46点中、過去問知識で確実に取れる問題がだいたい4割として、46問中18.5問正解の74点になります。(例年、過去問知識で取れるのが4割というのは『千問ノック』などに載っていた情報です。私もそんなもんかなと思いますし、予備校の解説なんかでもデータを提示した上でそのような感じで言われています。)

もちろん、これは「過去問知識で取れる問題は1つも落とさない」という仮定です。

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行政書士試験の過去問知識で確実には取れない問題

ここまでの時点で法令択一式74点+一般知識24点+記述20点の118点取っています。

行政書士試験に合格するためには合計180点必要なので、まだ「180点-118=62点」追加で取らないといけません。62点はマークの正解数で言うと15.5問です。

つまり、「過去問知識では正解できない残りの法令択一問題27.5問(110点)のうち、15.5問(62点)正解しないと合格できない」ということです。

これを達成するには約56%の正答率が必要です。これを「過去問知識では確実に正解できなかった問題」で取らないといけないので、かなり運が絡んできます。

過去問知識や一般常識などからその場で考えて選択肢がいくつか消せる状態かもしれませんし、1つの選択肢も正誤が分からず完全な5択の運任せになってしまうかもしれません。

5択のマークなので、完全に適当に選んだ場合の正解率は20%です。27.5問全てを適当にマークした場合は不合格になる可能性が高いでしょう。逆に、「過去問だけで確実に正解出来ない27.5問の全てが2択まで絞れる」のであれば、正解率50%なのでまだ何とか合格できる可能性がありそうです。

もし、法令択一や一般知識に自分の常識などで正解出来る問題があればその分楽になります。

もし、小数点の数字がややこしく感じる場合は四捨五入して考えて下さい。

過去問だけで行政書士試験に合格するために必要な条件

以上が「過去問だけで行政書士試験に突入した場合」に考えられることです。(多肢選択式があるので厳密にはちょっと違いますが、必要な点数は変わりません)「過去問だけで受かった」という人は、これらが上手く噛み合った結果ということだと思います。

要するに、過去問で取れる問題は全て正解した上で、過去問知識では確実に解けない問題(27.5問)を約56%の正答率で正解できるかどうかに合否がかかっています。(記述式20点、一般知識24点の場合)

ここから記述式と一般知識の条件を変えたシミュレーションをいくつか紹介します。

記述式と一般知識でもう少し点が稼げた場合に必要な正答率

「いやいや、記述と一般知識の見積もりが低すぎるでしょ?」と言う人もいると思うので、条件を緩めた場合も少し紹介しておきます。

仮に、「一般知識が足切り回避ギリギリの24点はありえない。文章理解3問は絶対に正解出来るし、それ以外も常識で取れる問題もあるので32点は取れる」という人なら、法令択一27.5問中12.5問(正解率約45%)でOKです。(個人的には一般知識はほんと運なので24点を想定しておくのがいいと思いますが……)

そこからさらに、記述を最初に仮定した20点ではなく32点取れると仮定すると、法令択一27.5問中9.5問(正解率約34%)でOKです。(ただ、過去問だけで記述32点を安定して取るのは難しいと思います……)

過去問知識で取れる問題以外を全て適当にマークしても勝負になる条件は?

「過去問で確実に正解できない法令択一5択問題」を全て適当にマークしても合格できる可能性が十分にある、正答率20%でOKな状態にするには記述と一般知識でどれくらい必要かも紹介しておきます。

記述32点、一般知識32点の状態からさらに16点稼ぐ必要があります。(例えば、「記述36点、一般知識44点」「記述40点、一般知識40点」「記述44点、一般知識36点」など)

記述式と一般知識でこれくらい点数が稼げれば、かなり楽になります。よほど運が悪くない限り合格出来ると言ってもいいのではないでしょうか。

過去問知識で取れる問題を落とした&記述が20点未満だった場合に必要な正答率

逆に、過去問知識で取れる問題を落としてしまったり、記述が20点未満の場合などは、その分必要な正解率が上がってしまいます。

例えば、過去問知識で取れる問題を2問落としてしまい、記述も14点だった人は、過去問知識で確実には解けない問題で約69%の正答率が必要になります(一般知識24点の場合)。正直こうなるとかなり厳しいですね……

ちなみに私の記述式の点数は1年目は14点、2年目は52点でした。

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合格可能性を上げるには?

ここまでに紹介したことを考えて、「いける」と思うなら過去問だけで対策をすればいいですし、「運の要素が多くて不安」と思うなら、もう少し合格可能性を上げる勉強計画に修正が必要です。

では、合格可能性を上げるにはどうすればいいのか?

それはやはり「行政書士試験の過去問以外でも勉強すること」だと思います。特に最重要科目の行政法と民法を頑張りましょう。特に過去問だけでは不安の残る民法は、記述が2問も出ますので、可能な限り対策しておきましょう。

行政法は過去問知識で1番多く正解出来る科目(6割くらい)なので、「行政法と民法のどっちかだけ、過去問以外も勉強する」という人には民法を勉強することをおすすめします。民法の記述でしっかりと点数を稼げるとかなり楽になるので頑張りましょう。

行政法のおすすめ参考書レビュー:行政書士試験 行政法のおすすめテキスト「国家試験受験のためのよくわかる行政法」択一も記述もこれ1冊でほぼ完成します。

民法のおすすめ参考書・問題集レビュー:行政書士試験 独学 民法のおすすめテキスト・問題集「公務員試験 新スーパー過去問ゼミ 民法(スー過去)」択一も記述もこれでOK

その他だと、憲法の統治条文の読み込みなんかも量が少なく、負担もあまりないのでおすすめですね。過去問で未出の条文問題が出た時に瞬時に正解出来るようにしておくといいですね。

まとめ

「行政書士試験に過去問だけで合格するには、過去問知識で取れる問題は全て正解した上で、過去問知識では確実に解けない5択の法令問題(27.5問)をどれくらいの正答率で正解しないといけないのか」

  • 約56%(記述式20点、一般知識24点と仮定した場合)
  • 約45%(記述式20点、一般知識32点と仮定した場合)
  • 約34%(記述式32点、一般知識32点と仮定した場合)
  • 約20%(記述式40点、一般知識40点と仮定した場合)

以上の正答率が必要となります。

  • 「自分が受ける時は過去問知識で5~6割取れる年になるかもしれない」
  • 「過去問知識で解ける問題を1問も落とさないとは限らないしこわいなぁ……」
  • 「過去問だけでは無理っぽいからやっぱり他の勉強もしようかな」
  • 「過去問から記述がばっちり出れば30~40点は取れるだろうし、それならまあいけるでしょ」
  • 「一般知識が易化して、大きく点数を稼げることに賭ける」
  • 「5択の27.5問を約56%正解すれば良いんでしょ?運には自信あるし問題ない」

などなど、この記事を読んでどう感じるかは各自違うはずです。

ただ単に「誰々が過去問だけで受かったし、過去問だけでいいと言っていた」「誰々が過去問だけで落ちたし、過去問だけでは全然足りないと言っていた」という情報だけで決めるよりは、この記事で書いたようなことも参考にして勉強方針を決めると良いんじゃないかと私は思います。

自分で上手く勉強計画等を調整して納得出来るような行政書士試験の受験になるようにしたいところですね。

ちなみに私の考えでは、過去問だけではやはり安定しないと思うので、「時間が許すのなら過去問だけでなく、他の勉強もした方が良いのでは?」という結論になります。その方が確実に合格出来ると思いますね。

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