今日は、行政書士試験のテキスト選びについてです。
11月の試験が終わると、来年の試験に向けて勉強を始める人が増えてきます。書店やネットには、予備校などが出している「合格革命」「出る順」「みんなが欲しかった!」「うかる!」と、似たようなテキストが並んでいて、どれを買えばいいのか迷う人も多いのではないでしょうか。
私は独学で行政書士試験を受け、1年目は178点で不合格、2年目に234点で合格しました。実は1年目は、教材選びで結構遠回りをしたんですよね。その反省も含めて、2027年度の試験に向けて独学で始める人に、おすすめのテキストとその使い方をまとめます。
テキストは、選び方と使い方さえ押さえれば、何冊も買う必要はありません。最初の1冊で迷っている人は、ぜひ参考にしてください。
結論:独学なら「1冊本+行政法・民法のテキスト+過去問」
先に結論です。独学なら、基本テキスト(1冊本)を1冊、行政法と民法はそれぞれ別の本で補強、憲法は条文と判例集(判例をまとめたサイトでもOK)、あとは過去問集。私がすすめるのは、この組み合わせです。

| 役割 | 教材 | 使い方 |
|---|---|---|
| 1冊本 | 『合格革命 行政書士 基本テキスト』 | 会社法などを最低限押さえる |
| 行政法 | 『国家試験受験のためのよくわかる行政法』 | 読み込みのメイン |
| 民法 | 『公務員試験 新スーパー過去問ゼミ 民法Ⅰ・Ⅱ』 | 読み込みのメイン |
| 憲法 | 条文と判例集 | 条文も判例も読み込む |
| 過去問 | 『合格革命 行政書士 肢別過去問集』 | 読み込んだ知識の確認 |
何冊で足りるかというと、1冊本1冊と、行政法・民法の補強の本(よくわかる行政法とスー過去民法)、過去問集。基本的に買うのはこれで十分です。基本テキスト(1冊本)は、何冊も買っても意味がありません。
「1冊本を中心に勉強するんじゃないの?」と思った人もいるかもしれません。1冊本は、行政法や民法の内容が薄いんですよね。なので私は、1冊本は会社法などを最低限押さえるために使い、行政法と民法は別の本でガッツリと勉強するのがおすすめだと考えています。
2027年度版はいつ買う?古い版・中古でもいい?
2027年度の試験に向けて今から始める人が、最初に迷うこと。それは「今あるテキストを買うか、新しい年度版を待つか」ではないでしょうか。
大手の基本テキスト(1冊本)は、例年12月ごろに次の年度版が出ています。2026年度版も、2025年12月に出ました。2027年の試験を受けるなら、2027年度版を買うのがおすすめです。
理由は法改正です。行政書士試験は、試験の年の4月1日現在で施行されている法令から出題されます。古い版や中古のテキストだと、その後の改正が入っていないことがあります。
たとえば2026年には、次の改正が施行されました。
- 行政書士法の改正(令和7年法律第65号):2026年1月1日施行
- 民法等の改正(離婚後の共同親権など):2026年4月1日施行
これらは、古い版のテキストには入っていません。2027年度の試験に向けても新しい改正が入ってくることがあるので、最新版を選んでおくと安心です。
とはいえ、12月の発売まで何も勉強しないのは、もったいないです。待つ間は、このサイトの記事でおすすめしている行政法や民法のテキスト(あとで紹介します)などで勉強を始めてしまうのがおすすめです。
行政書士のテキストの選び方
最新版・法改正対応を選ぶ
上で書いたとおり、試験を受ける年度の版を選びます。どのシリーズを選ぶかより、ここの方が大事です。
1冊本か科目別か(学者本まで要る?)
よく「基本テキストは1冊に決めて、最後まで替えない」と言われます。1冊本を何冊も買っても意味がない、という点は私も賛成です。ただ、行政法や民法は1冊本だと内容が薄いので、これから紹介する『よくわかる行政法』や『スー過去 民法』などで補強が必要だと考えています。
では、それよりももっと深く書かれた学者本(大学の先生が書いた基本書)まで要るかというと、要りません。行政書士試験には内容が深すぎます。行政書士試験は、表面のところを広く覚えているだけで十分高得点が取れる試験です。
私は行政書士の合格後に司法書士の勉強もしていますが、比べると、行政書士では会社法を深追いしなくてよかったと感じます。会社法は最悪捨てても合格できると思います。ただし、司法書士に進もうと思っている人は、会社法も絶対に手を抜かないほうがいいです。
あわせて読みたい:【行政書士試験 独学】『芦部憲法』『サクハシ行政法』など学者の基本書や『判例百選』は必要か?読まなくても合格できる?【学者本】
フルカラー・図解の多さは好みでいい
「初心者はフルカラーで図解の多い本を選ぶべき」という意見もよく見かけます。これは、その人の好みによると思います。
注意したいのは、見やすさだけで選ばないことです。紙面がスカスカで見やすくても、必要な情報が抜けていたら意味がありません。書店で手に取れるなら、自分が苦手な論点のページを開いて、説明が足りているかを確かめてみてください。複数のテキストで同じ論点を読み比べるのが良いでしょう。
問題集と同じシリーズにそろえるか
1冊本と過去問集を同じシリーズにすると、過去問の解説からテキストの該当ページを引きやすくなります。私は『合格革命』の基本テキストと『合格革命』の肢別過去問集を使いました。こだわりがなければ、そろえておくと地味に便利です。
おすすめの基本テキスト4冊を比較
独学向けの1冊本としてよく名前が挙がる4冊を、出版社の公式の情報をもとに比べます。
| 書名(出版社) | 特徴 | 同じシリーズの過去問・問題集 |
|---|---|---|
| 合格革命 行政書士 基本テキスト(早稲田経営出版) | ザ・参考書という感じの読み見やすい紙面。全ページカラー。電子版あり | 肢別過去問集、基本問題集 |
| 出る順行政書士 合格基本書(LEC) | 1項目を見開きで完結で見やすい。取り外せるコンパクト六法付き | ウォーク問 過去問題集、良問厳選 肢別過去問題集 |
| みんなが欲しかった!行政書士の教科書(TAC出版) | 4色カラーで紙面がポップでかわいらしい感じ。六法付き。電子版あり。 | みんなが欲しかった!行政書士の問題集 |
| うかる!行政書士 総合テキスト(伊藤塾/日本経済新聞出版) | 合格革命と似た感じの紙面。六法付き。電子版あり。講師の解説動画付き | うかる!行政書士 総合問題集など |
私が1冊すすめるなら、『合格革命 行政書士 基本テキスト』です。受験した年に持っていた本で、いわゆる1冊本の中では一番内容が充実していると思います。
ただ、正直なところ、ほかの3冊でも全く問題はないと思います。上で書いたとおり、1冊本は会社法などを最低限押さえるために使うので、どれを選んでも差はそれほど大きくありません。紙面から受ける印象は結構違うと思うので、パラパラ見てみて気に入ったのを買うと良いと思います。
- 向いている人:1冊本は情報量の多さで選びたい人、過去問集も同じシリーズでそろえたい人
- 向いていない人:法律がまったくはじめてで、いきなり厚い本を読むのがきつい人(下の「法律がはじめての人」へ)
出る順と合格革命はどっち?
LECと合格革命、この2つで迷う人は多いと思います。1冊本どうしなら、どちらでも合格に必要な範囲は押さえられるはずです。決めきれないときは、使いたい過去問集のシリーズに合わせるのが手っ取り早いですね。過去問集の比べ方は、下の「テキストと一緒にそろえる問題集・過去問・六法」で紹介しています。
科目別に足すならこの1冊(配点から考える)
どの科目を別の本で補強した方が良いかは、配点を見ると一目瞭然。科目ごとの問題数は、例年の出題から数えたものです。
| 科目 | 出題と配点 | 私のおすすめ |
|---|---|---|
| 行政法 | 5肢択一19問・多肢選択2問・記述1問(112点) | 『よくわかる行政法』で補強 |
| 民法 | 5肢択一9問・記述2問(76点) | 『スー過去 民法』で補強 |
| 憲法 | 5肢択一5問・多肢選択1問(28点) | 条文と判例集 |
| 商法・会社法 | 5肢択一5問(20点) | 1冊本で最低限 |
| 基礎法学 | 5肢択一2問(8点) | 1冊本で最低限 |
| 基礎知識 | 5肢択一14問(56点) | 個人情報保護法などの条文 |
行政法と民法だけで、法令等科目(244点)のうち188点を占めます。ここを1冊本の薄い説明だけで済ませるのは、もったいないというか、正直いって安定して合格するには網羅性が足りません。
行政法:よくわかる行政法
行政法は、『国家試験受験のためのよくわかる行政法』を今もすすめます。私は行政法を、この本の読み込みをメインに勉強しました。行政法のテキストはこれ1冊で高得点が取れます。
あわせて読みたい:よくわかる行政法は行政書士の行政法テキストにおすすめ!択一も記述もこれ1冊でほぼ完成します。
民法:スー過去 民法
民法は、公務員試験用の『新スーパー過去問ゼミ 民法Ⅰ・Ⅱ』(スー過去)です。こちらも今もすすめます。民法も、行政法と同じく読み込みがメインでした。民法もこの2冊で十分すぎるくらいの実力がつきます。
あわせて読みたい:行政書士試験の民法はスー過去でOK!合格者が教える使い方と記述対策
憲法・商法・基礎知識
憲法は、テキストを買い足すより、条文と判例集の読み込みがおすすめです。私は、e-Gov 法令検索からダウンロードした条文と、ネットでまとめてあった判例集を読み込んでいました。
あわせて読みたい:【行政書士試験 独学】憲法のおすすめ教材と勉強法【統治条文素読・重要判例読み込み】
商法・会社法は、1冊本で十分です。私は商法の基礎テキストを1冊読みましたが、意味はありませんでした。基礎知識は、個人情報保護法の条文を読んだくらいです。
私の2年分の教材と使い方:テキストは読み込んで、覚える所は覚える
ここからは、私が実際にどの教材をどう使ったかです。
1年目(178点不合格)の教材と、2年目にやめた教材
1年目は、『憲法学読本』や『行政法』(サクハシ)といった学者本を使っていました。ほかにも、司法書士試験用の『オートマ民法』や商法の入門書などです。
2年目は、これらを最初から使いませんでした。行政書士試験にはオーバーワークで、はっきり言って時間の無駄だと思ったからです。それよりも、さきほど紹介したよくわかる行政法やスー過去民法の仕上がりを完璧に近づける努力をした方が良いと思います。
あわせて読みたい:【行政書士試験】独学合格に不要だった使用教材(テキスト・過去問など)を全て紹介【取捨選択】
2年目(234点合格)の教材と読み込み方
2年目の教材は、上の結論の組み合わせとほぼ同じです。テキストとして買い足したのは、伊藤塾の『うかる!行政書士 民法・行政法 解法スキル完全マスター』くらいで、ほかは何も買っていないと思います。
勉強の中心は、テキストの読み込みです。学習の初期から直前まで、ずっとテキストを読んでいました。特に行政法と民法は、テキストの読み込みがメインの学習でした。
一方で、過去問は1〜2回しか解いていません。テキストの読み込みをしっかりやっていたので、ほとんどの過去問は初見で解けるようになっていたからです。

そして、覚える所はきっちり覚えました。期間・数字・要件はもちろん、自分が覚えにくいなと思った言い回しまで、何でもメモして覚えていました。どんなメモをしていたかは、このサイトの暗記まとめの記事を見てもらうのが一番早いと思います。
あわせて読みたい:【行政書士試験 民法】重要条文、判例、暗記事項まとめ・整理
1年目と2年目で、テキストの使い方そのものは同じでした。違うのは、2年目は暗記まとめを作って、それを毎日読み込んだことです。こうすると、暗記の精度がぐっと上がりました。覚えるところをしっかりと覚えられていると、択一で即答できる問題も増え、時間にも余裕が出てきます。
過去問だけでは足りない理由
「過去問を何周も回せば合格できる」という勉強法もよく見かけます。ただ、個人的には、過去問を何十周も回すより、テキストを読み込みまくった方が安定すると考えています。
もちろん理解は大事です。でも、暗記する所をきっちり暗記していないと、試験で点を落とす可能性が増えます。過去問だけだと、出たことのない形で聞かれたときに、覚えていない知識が穴になりやすいんですよね。単に知らない知識が出たりもたくさんするはずです。
過去問だけで合格できるのかは、別の記事でも私なりに考えているので、よかったら参考にしてください。
あわせて読みたい:【行政書士試験】行政書士試験は過去問だけで合格できる?足りない?【独学】
タイプ別のおすすめ
法律がはじめての人
「最初は漫画などの薄い入門書から入るとよい」という意見もあります。いきなりテキストを読むのがきついという人には、とっかかりとしては良いと思います。
そのときは、入門書を勉強にカウントせず、息抜きだと思って読むのがおすすめです。入門書で勉強した気になって、テキストに進むのが遅れるのが一番もったいないので。
宅建など法律の学習経験がある人
宅建などで民法を勉強したことがある人は、入門書は飛ばして、おすすめテキストの組み合わせからそのまま始めて大丈夫だと思います。ただ、行政書士試験の民法は記述式もあるので、知っている所も『スー過去 民法』で読み直しておくと安心です。
時間が少ない社会人
私の場合、勉強時間は3か月で420時間ほどでした。1日の時間は日によってばらばらで、2時間前後の日もあれば、10時間くらいやった日もあります。
スキマ時間には、自分で作った暗記まとめか、憲法の条文と判例集を読み込んでいました。厚いテキストを持ち歩くより、短く読めるものをスキマ時間用に分けておくと続けやすいですね。
あわせて読みたい:【行政書士試験】勉強時間の目安は?合格には600時間必要?半年から1年はかかる?【独学・予備校】
| タイプ | 最初にやること |
|---|---|
| 法律がはじめて | 入門書は息抜きとして読み、早めに1冊本と補強の本へ |
| 宅建などの経験あり | 入門書は飛ばし、結論の組み合わせから始める |
| 時間が少ない社会人 | 暗記まとめや条文など、スキマ時間用の教材を分けておく |
テキストと一緒にそろえる問題集・過去問・六法
過去問集は、『合格革命 行政書士 肢別過去問集』を使いました。1年目は LEC の『ウォーク問』を使いましたが、2年目は肢別過去問集に替えています。比べた感想は、別の記事にまとめました。
あわせて読みたい:行政書士の過去問は合格革命と出る順どっち?肢別とウォーク問を両方使った合格者が比較
記述式の問題集は『合格革命』のものを持っていましたが、ほとんどやりませんでした。模試も、市販のものも予備校のものも受けていません。
「行政書士試験では六法は買わなくてよい」という意見には賛成です。必要な条文は、大体テキストに載っています。憲法など全体を読み込む必要がある条文だけ、e-Gov 法令検索から印刷すれば十分です。
独学が不安なら通信講座も(向いている人)
独学か通信講座かで迷う人もいると思います。通信講座が向いているのは、たとえば次のような人です。
- 「授業料を払ったからやらなきゃ」と思える人
- 自分でテキストを選ぶのが面倒な人や、予備校の講座をペースメーカーにしたい人
ただ、通信講座だろうが予備校だろうが、結局は自分で勉強するしかありません。講義を聴いて満足して終わるのが一番危険です。講座にしても、テキストを読み込んで覚える所を覚えるという中身は同じだと思っておいてください。
あわせて読みたい:【行政書士試験】資格予備校 or 独学 どっちで合格を目指すか。おすすめの決め方
よくある質問
テキストは何冊あれば足りる?
1冊本(基本テキスト)1冊と、行政法・民法の補強の本、過去問集で足ります。1冊本や問題集を何冊もそろえる必要はありません。
入門書は要る?
どの基本テキストも入門レベルから解説してくれているので、必須ではありません。いきなり基本テキストがきつい人が、息抜きとして読むくらいがちょうどいいと思います。
電子書籍でも勉強できる?
電子版が出ているテキストもあります。読み込みが中心の勉強なら、持ち歩きやすい電子版をスキマ時間用に使うのも一つの手です。ただ、電子版の有無や付録の扱いは商品ごとに違うので、買う前に商品ページで確かめてください。
途中でテキストを替えてもいい?
合わない本や、行政書士試験には深すぎる本なら、替えていいと思います。私も1年目に使った学者本やオートマ民法は、2年目には最初から使いませんでした。ただ、1冊本から別の1冊本に替えても、中身はあまり変わりません。替えるより、今の本を読み込む方が点につながりやすいはずです。
まとめ
- 独学なら「1冊本+行政法・民法の補強+憲法の条文と判例集+過去問集」で足りる
- 1冊本は会社法などを最低限押さえるために使う。私のおすすめは『合格革命 行政書士 基本テキスト』だが、ほかの本でも大きな差はない
- 行政法は『よくわかる行政法』、民法は『スー過去 民法』で補強する
- 最新版を買う(法改正に対応するため)
- 過去問を何十周もするより、テキストを読み込み、覚える所はきっちり覚える
テキスト選びに時間をかけすぎるより、早めに1冊決めて読み込みを始めた方が、合格に近づけると思います。2027年度の試験に向けて、参考にしてください。
参考資料
